私はこれまで自分の父親ほど不器用な人に会ったことがありません。
父はマジメで、人付き合いが下手。
周りの人間に嫌われるような態度を取る。
頭ごなしに自分の価値観を押しつける。
堅物で融通が利かない。
父は父なりに一生懸命やってきたつもりなのですがほとんどが裏目に出てしまいました。
何でもっと上手にやらないんだろう?
何で心と逆のことをしているんだろう?
父を見ていてそう思っていましたが、父は私の言うことなど聞く耳を持ちませんでした。
良い人なのに誤解される、本当に損ばかりしている人です。
父の悲劇は、家族の心を犠牲にしてしまったこと。
そんな悲劇の具体的な内容とは?
不器用な父
父が不器用にしか生きられない理由はやはり酒乱の祖父の影響が大きかったようです。
祖父は父を暴力で躾たため、父は過剰に恐がりなところがありました。
そして私たち兄弟にも暴力で躾をしたのです。
口よりも手が出て、躾よりも自分のストレス発散のために私たちは殴られました。
父の理想を子どもに押し付ける
自分の正しいと思っていることを子どもに押しつけ、私も父の理想に近づこうと頑張りました。
勉強を頑張り、将来は権力を持てる仕事に就こうともくろんでいました。
学校の成績が良いと父は喜びました。
私は父に喜んでもらうために勉強を頑張りました。
弟の挫折
しかし、弟は頑張れませんでした。弟なりに頑張ってみたけど父の理想通りにできなかったことで自信を失い、心を閉ざしてしまいました。
スポンサーリンク
大学も一浪して三流の私立大学にやっとの思いで入学。
大学四年生の時に就職活動したけど全ての会社で内定をもらえず、やけになって大学を四年で中退しました。
「こんな大学を卒業しても就職に何の役にも立たなかった」というのが弟の言い分。
というより、弟を無理矢理大学に押し込んでおけば就職先もたくさんあるだろうと考えていた父。弟はそんな父に対して反発したんだと私は考えています。
父は、弟のためを思ってやったこと
弟もそんなことは気づいているけど、父が理想としている能力を自分は持ち合わせていないのが悔しかったんだろうと思います。
そして、父に認められない自分に対する苛立ちもあったと思います。
こんな風に私が弟の気持ちを予測でしか語れないのは、弟は家族全員に心を閉ざしてしまい、何も話さなくなったからです。
分かり合えない家族
父は弟の気持ちを無視して自分の理想を押しつけました。
父も弟も優しい性格なのに、調和することなく理解し合えないまま同じ屋根の下に住んでいます。
弟は父の陰の姿のように見えます。
父は公務員で表向き威厳がありますが、心の中は弟のように自信のない臆病できまじめな人間です。
父は今になって、弟に自分の理想を押しつけてしまったことを反省していますが、それでも父親としての責任を全うしようとして父は父なりに頑張っていたのです。
父と弟を見ていると娘として姉として心が痛みます。
もっと器用に、いい加減に生きても良いのに。
きまじめは誰も幸せにしない。
そんな風に考えてしまうのです。
スポンサーリンク