高校二年生の4月、娘は「しんどい」と担任に告げて早退してから、心身を病んでいきました。
最初は動作が遅くなりました。部屋からリビングまで数メートルしかない距離を、ゆっくり一〇分以上欠けて歩き、食事も箸を持ってから料理をつまみ、口の中に入れるまで数十分かかり、一口二口食べると、疲れてそのまま食卓の椅子に倒れて寝てしまいました。
お風呂も数時間かけて入り、トイレに行くのもゆっくりでした。
そんな状態が二週間くらい続いた後、今度は昼夜逆転になりました。ゴールデンウィーク開けには登校するつもりで、寝る時間を徐々に早くし始めたのですが、「誰かに見られている」「恐い」と言って、昼間もカーテンを閉め切って怯えるようになりました。
その後、思春期外来で診てもらい、その日のうちに入院が決まりました。
一ヶ月半後くらいに、医師に呼ばれ「ミミ(娘)さんの病名は。統合失調症です」と告げられました。
初めてその病名を聴いたときは、診断が間違っているのではないか、そんなはずはない、いい加減なことを言わないで欲しいと医師に反論したくなりました。統合失調症は、昔、精神分裂病と呼ばれていましたから、恐いとか、人格が破壊していくとかのイメージが強く、そのような病気にかかったという親族はいませんでしたから。
それでも統合失調症という病気について、噂レベルの知識しかありませんでしたから、関連の本を読み、調べていき、退院後の娘の様子と合わせて、娘はやっぱり統合失調症なのだと納得するまで、数ヶ月かかりました。
娘の症状は、他人が見ていないのに「見ている」とか、人が近くにいると「圧を感じる」とか、光りがダメとか、視覚に対して敏感に反応していました。それと胸がムカムカしてきて、人を殺したくなるとか、死にたくなるとかという症状もありました。それと、集中力が続かず、本も読めない状態でした。身体は、右手を後ろにやって指を鳴らすという動きをしており、本人曰く、「勝手に動く」と言っていました。