「もし、自分の子どもが加害者になったら・・・」
そんな心配はありませんか?
犯罪事件の加害者は、事件の特殊性からその人の持つ異常な性質が一因であったかのように片づけられることがあります。
しかし、加害者として誕生する赤ちゃんはいません。
その子の成育過程や子育て環境により加害者は作られます。
5000人の少年院の少年たちと接した「問題児は問題の親がつくる」の著者である相部和男氏は、その著書で「親が変わらなければ、子どもは変わらないのだ!」と語っています。
全ての親が知っておきたい、子どもを加害者にしない子育てとは?
愛情が支配と被支配の関係にある親子関係
20年ほど前に神戸で起きた悲惨な事件。
その加害者である少年Aの家族から、子どもを加害者にしてしまう子育てをまとめた「あなたの子どもを加害者にしないために」(中尾英司著)から、実際の子育てにも役立つ学びがたくさんありました。
その中でも、愛情が支配と被支配の関係にすり替わってしまうメカニズムは全ての親が知って欲しい内容だなと思いました。
中尾英司氏によりますと、その主なメカニズムは次の5つです。
- 親が子どもを追いつめる「信念の罠」
- 共感力に乏しい親が陥る「心理的ネグレクト」
- 子どもを操り人形にする「ダブルバインド」
- 子どもを成長させない「家族カプセル」
- 良かれと思いつつ子どもの生きる力を奪ってしまう「お膳立て症候群」
親が子どもを追いつめる「信念の罠」
少年Aの父親は、家族の中で存在感が薄かったのですが、たった一つだけ家族に対して強要していた信念がありました。
この信念が「嘘をつくな」ということでした。
ご自分の信念が破られると父親は激しく少年Aを叱ったようです。
信念を持つことは悪いことではないのですが、家族に強要する時、特に子どもに教える時には注意しなければなりません。
なぜなら、信念というのは極めて個人的なことであり、それを自分の子どもと言えども、他人に押しつけると言う行為は実は自己中心的なことだからです。
信念を持つときに注意したい7つの点を引用しますね。
1、その信念はなんのために必要か(なければ生きていけないのか)2、その信念の由来はなにか(思いこみに支配されていないか)3、その信念は誰のために必要なものか(子どものために必要か)4、その信念を徹底することが、その他のことはたいしたことではないというメッセージを周囲に与えていないか5、その信念に神経を、注意を集中しすぎるあまり、もっとも大事なことを無視していないか6、その信念は、命にかかわることに次いで大事な信念なのか7、どのような信念であれ信念とは自分だけのもの。人に押しつけるものではない引用元:「あなたの子どもを加害者にしないために」(中尾英司著)
少年Aの父親は、嘘をつかれると「騙された」と激しく怒ったそうです。少年Aも、取り調べ中に「僕を騙したあの警察官はどうしていますか?」と質問するくらい、自分が騙されたことを気にして、自分の犯した罪よりも騙した警察官の罪の方が重いと考えていたようです。
少年Aの父親が持つ自己中心的な信念により、殺人や命を粗末に扱うことよりも、信念の方が大事だという教育を与えてしまったのです。
子どもに個人的な信念を押しつけていませんか?
うちは、旦那が同じように「嘘つくな」と言っています。この信念について、何のための信念なのか?などを旦那に追求していこうと思いました。
家族のタブー
どこのおうちでも家族の間でタブーはあるものです。
しかし、そのタブーが子どもを犯罪に走らせたり加害者にさせたりしているのです。
例えば、「成績が下がる」ことが最大のタブーのご家庭で育った子どもが、受験を控えた中学三年の時に通行人をナイフで刺すという事件がありました。
その際、面会に来た親は「こんな場所で時間を潰していたら受験勉強ができないので困るんです」と言ったそうです。
更に、同級生に暴力を振るった女子は、「成績が下がると「うちの子」ではない」と言われて育ったそうです。
最近、名だたる有名大学や難関学部で、聞くにもおぞましい事件が連続してありました。彼らの親もきっと「成績さえよければ」と言う信念と「成績が下がったらダメだ」というタブーを子どもに押しつけていたのでしょう。
あなたのご家庭にはタブーはありますか?
うちのタブーは・・・今のところ見当たりませんが、ひょっこり出て来たらそのタブーについて追求していこうと思います。
信念にしろ、タブーにしろ、家族にとってあまりにも当たり前すぎて気が付かないことがたくさんあるのだろうと思います。
事件が勃発してから発覚しては遅いので、「信念を押し付けていないか?」「タブーはあるか?」を普段の生活で意識していこうと思いました。
その他の次の項目についてはまたの機会にご紹介しますね。
まとめ
子育てについて知れば知るほど、子育ては単なるハウツーではなく、親自身が自分の心と向かい合うことが、必須であり、親の変化なしには子どもの変化はないと確信しました。
「厳しく育てればよい」とか
「褒めて育てたらよい」とか
マニュアル的な子育て本や情報が氾濫していますが、それぞれの家族にとって万能となるものは一切なく、親自身がどれだけ自分自身の心と向き合い、子どもの心を察してあげられているか?が何よりも大事だと思いました。
子育てに自信がなくなったら、まずは親や家族の裁量で全てが決定づけられる家庭環境を、改めて見直してみることが第一歩です。
親が自分自身の心に向き合うことで、親自身の苦しみからも解放されて、親も子どもも自由で優しく明るい世界が手に入ります。
自分自身の心に向き合うことは、辛いことや厳しいことではなく、自由な世界を満喫できる入り口。
頑張らずに親も子どもも伸び伸びと生きるきっかけとしてご自身の心に飛び込んでみてはいかがでしょうか?